透明水彩グリーンの混色の作り方|混色表の作り方とおすすめの混色

葉っぱの写真

風景画や植物の静物画を描く際に必ず必要になる色に「グリーン」があります。

木々の葉、草原、山の遠景、花の葉や茎など、自然の中にはさまざまなトーンのグリーンがあふれています。

こんな時、グリーンの色の引き出しが少ないと、どのモチーフも同じトーンのグリーンで塗られ、のっぺりとした立体感のない印象の作品になってしまいます。

実際の自然は一色の緑ではなく、光や空気、距離や時間帯によって無数のグリーンが存在しています。

こうした多様なグリーンを再現するためには、ただ絵の具のチューブから出したままの緑を使うのではなく、自分で色を混ぜて表現することが不可欠です。

グリーンの混色について理解し、使い分けができるかどうかで、作品の深みやリアリティは大きく変わってきます。

この記事では、透明水彩絵の具で美しい様々なグリーンを作るための混色の基本と、表現の幅を広げるためのコツをご紹介します。

ゆい



風景画や植物を描く際に必ず必要になる色「グリーン」は、作品に深みを出すために混色の使い分けが不可欠です。






そんな方に参考にしていただければ嬉しいです♪

目次
三原色の色見本

グリーンの混色を考えるうえで、色に関する基礎知識があると、混色の基本が分かりやすくなります。

ここでは、「色の三原色」「色相環」について解説します。

「色の三原色」とは?

「三原色」とは、全ての色の素となる色で、混色では作り出すことができない原色です。

全ての色は、この三原色を混色することで作ることができます。

また、三原色には「光の三原色」と「色の三原色」があるのですが、ここでは、「色の三原色」について解説します。

「色の三原色」の3つの色とは
 ⇒「マゼンタ」「シアン」「イエロー」です。

ざっくり言うと、

「マゼンタ」⇒「赤」
「シアン」  ⇒「青」
「イエロー」⇒「黄」


この三色ですね。

マゼンタは「赤」というより「赤っぽいピンク」ですね。

それから、おもしろいのは、この三色は混ぜ合わせると「黒」になります。

「マゼンタ」+「シアン」+「イエロー」=「黒」

絵の具の色は混色するごとに「濁って」きて、最終的には「黒」になるのです。

三原色の色見本
三原色(ホルベインCMY)

この三原色の「マゼンタ」「シアン」「イエロー」を具体的に絵の具の色で挙げると、ホルベインの公式サイトに掲載されている、三原色(印刷の三原色CMY)にあたる色は、

<三原色(ホルベインCMY)>
キナクリドンマゼンタ
・フタロブルーイエローシェード
・イミダゾンイエロー


こちらの3色です。

色相環」 補色と類似色

色相環
色相環

混色を考えるうえで、外せないのが「色相環」です。

色相環は、前に書いた三原色の3つの色を基準にして、混色した色を環状に並べたもので、覚えておくと混色の際にとても役に立ちます。


<補色>
色相環の反対側にある色同士は「補色」と言います。

補色同士の色を混色すると、色は濁り、混ぜる分量により徐々にグレーに近づいていきます。

補色同士の色を作品の中に配置して使用すると、お互いの色を引き立て合って賑やかな印象になります。

<類似色>
色相環の隣り合う色や近くにある色同士は「類似色」と言います。

類似職は混色しても色が濁りません。

類似色同士を作品の中に使用することで、色のトーンに統一感が出て、落ち着いた印象になります。

さて、色の基本を頭に置きながら、早速グリーンを混色で作ってみましょう!

尚、この記事で使用している画像の絵の具は、全てホルベインの透明水彩絵の具を使用しています。

たまちゃん

混色って楽しそう♪

ゆい

実際にいろんな組み合わせで混色を試してみてね!

「グリーン」の混色 基本の作り方

グリーンを2色の混色で作る際の基本は、

 ⇒「黄色」と「青色」を混ぜて作ります。


この「黄色」と「青色」の絵の具は、各メーカーから様々の種類の色が製造されていて、それぞれの色の組み合わせにより、多様なグリーンを作ることができます。

また、「黄色」と「青色」の絵の具を混ぜる量の配分によっても多種多様なグリーンができますし、その出来た色に水を加えて薄めることで、更に色の幅は広がります。

<混色する際のコツ>
混色する2色のうち、初めに薄い色の方(黄色)をパレットに取ります。

次に、濃い色(青色)を、色の変化をみながら少しづつ混ぜていきましょう。

<「黄色」×「青色」の混色見本 >

例)「ウルトラマリンライト」×「パーマネントイエローレモン」
赤みのある青と、レモンイエローのような青みの黄色を混ぜると、くすみのある落ち着いたグリーンになります。

例)「フタロブルーイエローシェード」×「カドミウムイエローライト」
鮮やかな青に、カドミウムイエローやパーマネントイエローのような暖かみのある黄色を加えると、明るく鮮やかなグリーンが作れます。

グリーンの混色の色見本

このように、同じ黄と青でも、組み合わせによって仕上がるグリーンの印象は大きく異なります。

上記の写真は、2つの色の混ぜる割合を少しずつ変えて並べていますが、混ぜる量によっても色が大きく変化しているのがわかります。

このように、グリーン系の単色絵の具に頼らず、自分で混色することで、より自然で奥行きのある色合いを生み出せるのが透明水彩の魅力です。

まずは基本の混色を試し、違いを観察するところから始めてみましょう。

たまちゃん

思いがけないキレイなグリーンを発見できるかも♪

ゆい

混色の見本色を作っておくと作品づくりに役立つわよ。

何色混ぜる?

多くの色を混ぜると、色は濁ってきます。

混色で色を作る時は、2色~3色を混ぜるようにしましょう。

まずは2色で混色するところから始めてみるといいですね。

混色で出来た色を広い範囲に同じトーンで塗る時には、パレットに多めに作っておきます。

塗っている途中で絵の具が無くなると、全く同じ色を混色で作るのは難しいので、ムラになってしまいます。

草むらや木など、色に変化をつけながら塗りたい時には、少しづ混色を作りながら塗ると、グリーンに変化が出ます。

「緑色」の陰色の作り方

絵を描いていると、影にどんな色を置くかによって、作品に大きく影響します。

どんな陰色にするかで悩む色でもありますよね。

モチーフは素敵に描けていても、影の色を失敗すると作品全体が台無しになったりします。

下の3色は、フタログリーン(ビリジャンヒュー)との混色です。

木や花の葉などに使える、グリーンの陰色としておすすめの混色です。

ビリジャンヒューの混色見本
ゆい

同じ2色の混色でも、それぞれの色を混ぜる割合によって様々な陰色が作れますので試してみてくださいね。

たまちゃん

フタログリーン(ビリジャンヒュー)の混色をもっと知りたいな。

フタログリーン(ホルベインはビリジャンヒュー)という色をご存じでしょうか?

パッと見、「こんな毒々しいほど色鮮やかなグリーンは使えない」と思うような色をしています。

フタログリーンは、単色で使うと不自然な緑色になるのですが、他の色との混色で使うとステキな色に変身するとても便利な色なのです。

ビリジャンヒューの色見本

※フタログリーンは、メーカーにより、名前が違いますのでご注意ください。

ホルベイン ⇒ビリジャンヒュー
ウィンザー&ニュートン ⇒ウィンザーグリーン
シュミンケホラダム ⇒フタログリーン

フタログリーン(ビリジャンヒュー) おすすめの混色 

では、このフタログリーン(ビリジャンヒュー)を使った混色で、おすすめの色をご紹介します。

お使いのブラウザや端末により、絵の具の色の見え方が実物とは違うかもしれませんが、ご参考までに混色見本の画像を載せておきます。

ビリジャンヒューと黄色系の絵の具の混色見本

ビリジャンヒューと黄色系の絵の具を使った混色です。

パーマネントイエローレモン
若葉のような鮮やかな黄緑
イエローオーカー
落ち着いたオリーブグリーン

たまちゃん

どちらのグリーンも出番が多そうな素敵な色だね♪

ビリジャンヒューと茶系と青系の絵の具の混色見本

ビリジャンヒューと茶系と青系の絵の具を使った混色です。


針葉樹林のような深いグリーン

アクセントに使えそうなグリーン

ゆい

この2色は、樹木の陰色として使ってもよさそう。

水彩画では、絵の具の混色方法として

⇒パレットで混ぜる方法
⇒紙の上で直接混ぜる方法


この2つがあります。

<パレットで混ぜる>
パレットの混色スペースに混ぜたい2色を取り出し、必要な分量の色を混色します。

あらかじめ塗りたい色を作ってから塗るので、仕上がりの色をコントロールしやすい方法です。

狙った色を正確に混色したい時や、広い面を均一に塗りたい時に適している方法です。

<紙の上で混ぜる>
1色目を水彩紙の上に塗り、紙面が濡れている間に2色目の絵の具を1色目の隣り、又は、1色目の色の上に塗ります。

これは、透明水彩ならではの滲みの効果を活かして、紙の上で混色する方法で、紙の上で自然に混ざり合う効果を活かす技法です。

水分量や塗るタイミングによって色のにじみや重なり方が変化し、偶然にできる色の変化を楽しめるのが魅力です。

水彩紙の上で黄色と青の絵の具の混色

上の画像は、パーマネントレモンイエローを塗った上に、コンポーズブルーを塗っています。

たまちゃん

どっちの混ぜ方を使おうかな~

ゆい

どちらの方法にもそれぞれの良さがあるから、自分の表現したい絵によって、混色の方法も使い分けるといいわね。

混色で沢山のグリーンを作ることができますが、いざ「色を塗ろう!」という時に、イメージしているグリーンが「どの色と、どの色を混ぜたっけ??」と迷うことはよくあることです。

そんな時のために、混色の色見本を作っておくと、迷うことなくイメージした色を作ることができて便利です。

たまちゃん

混色見本があると、作りたいグリーンが迷わずできるね!

グリーンの混色表の作り方

下の画像の小さなサイズのスケッチブックを見本帳として使っています。

マルマン アートスパイラル A5サイズ

マルマンの青いスケッチブック

① 水彩紙に升目を書きます。

② 上側の横の升目に黄色系の色を塗ります。

③ 左側の縦の升目に青色系の色を塗ります。

④ 横升の黄色と縦升の青色を1対1の割合で溶き、縦横総当たりで升目を塗っていきます。

おすすめのグリーンの混色 色見本を作ってみた

1対1の割合で混色したグリーンの混色表を作りましたが、2色を混ぜる量の割合を変えると、更に多くのグリーンができます。

また、2色の割合を変えて出来たそれぞれの色に水を加えて明度を高くすることで、更に多くの色を作ることができます。

下の画像の見本帳は

黄色系
カドミウムイエローライト
キナクリドンゴールド

青色系
フタロブルーイエローシェード
ルミナスブルー
プルシャンブルー

これらの黄色と青色の混色見本帳です。

青と黄色の混色の色見本

画像では色の変化が分かりにくいのですが、右側にいくほど水の分量を多く溶いています。

絵を描くうえで、グリーンは頻繁に登場する色です。

絵の具のチューブから出した単色のグリーンだけでは表現に限界が出てしまいます。

混色で作るグリーンは、色の組み合わせや、混ぜる量により、鮮やかな若葉の緑から針葉樹の深い森の緑まで、画面に自然な変化を出してくれます。

あなたも是非、混色のグリーンを味方にしてくださいね!


ゆい

グリーンの混色を活かして、風景画を描いてみてね!

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