毎日仕事に追いまくられて『自分の時間を楽しむ』ということを忘れてしまっていた私が、ちょっとした偶然から水彩画と出会ったことで、思いもよらなかった目標に向かっていくことになったお話です。
絵は苦手だった子供時代
どんな子供だった?
子供のころは、特に何かに不自由することもなく、友達にも恵まれ、自然の中で遊ぶことが好きな子供でした。
特に生き物や植物が大好きで、虫を捕まえてきて観察したり、捨て猫や迷い犬を学校の帰りに連れ帰ってきて親に怒られたりしていました。
子供のころから動物や植物などを観察することが好きだったことが、今となっては絵を描く際に役立っています。
小学校での絵にまつわる苦い思い出
小学校に入ってから、美術の授業で絵を描くことが度々ありましたが、私は絵には苦手意識があり、実際、出来上がった自分の絵を見て上手く描けたと思ったことはありませんでした。
小学校4年生くらいだったと思いますが、学校の授業で絵を描くことになり、私は、偶然教室の中に飛び込んできた蝶をみんなで捕まえた、という場面を描きました。
先生は一人一人の絵を見ながら講評をされたのですが、私の絵を見て「この絵を見ても何の場面か良くわかりません」と言われてしまいました。
内気だった私は、もごもごと小さな声で説明しているうちに、先生は次の生徒の絵の講評にいってしまい、この時、「私には絵を描く才能はない」ということが自分の中で決定的になってしまいました。
仕事と私
仕事にも恵まれず、マイナス思考に陥る
私は大学を卒業して就職し、4年ほど勤務していた会社を退職したのですが、その後は良い仕事がなかなか見つからず、いくつもの仕事を転々としていました。
私は、このまま何の目標もなく、満足な仕事にも就くことなく毎日を過ごすことになるのか…と悩む日々が続きました。
仕事に明け暮れる日々
そうした状況の中、引っ越しをしたのですが、引っ越し先の地元でやっと希望の就職先をみつけることができて、悩む日々から解放されることになりました。
その後は、新天地での新しい生活のスタートを機に、就職した会社で仕事を頑張る日々が続きました。
そうした毎日を数年送っていたのですが、ある時突然、上司に呼び出され、私に重要なポストを任せたい、という全く思ってもみなかった話をされたのです。
私は、しばらくの間は断るべきか、迷いましたが、「よし、これをチャンスだと思って、とにかく精一杯やってみよう!!」と引き受けることを決心しました。
それからは、とにかく自分にできる精一杯の努力をしました。慣れない仕事に毎日四苦八苦しながら、遅くまで残業をする日々が続きました。
仕事は会社だけでは終わらず、休みの日も家に持ち帰って仕事をしていました。
そうした毎日を何年も続ける中で、繁忙期を迎えていた時期、頭が割れるような痛みに襲われました。
病院で診察を受けた結果、私は頭の中の血管に病気がみつかり、仕事をしばらく休むことになってしまいました。
透明水彩画と私
透明水彩画との出会い
幸いにもその病気は早く発見できたので、大事には至らずに完治することができましたが、このことを機に、「何か息抜きになる楽しみをみつけたい」と思うようになりました。
ある日、なんとなくYouTubeを見ていると、水彩で果物を描いているチャンネルをみつけました。初めは何を描いているのか全く分からず、紙面に様々な色の絵の具を塗りたくっているようにしか見えませんでした。
しかし、そのうちにみずみずしい果物の絵がみるみる現れてきて、まるでマジックを見ているような筆先に感動し、私は画面に目が釘付けになりました。
それからはYouTubeでたびたび水彩画のチャンネルを見るようになり、水彩画の魅力にハマってしまったのです。
そのうち、自分でも描いてみたくなり、最初は迷ったのですが、透明水彩の絵の具と筆などの画材一式を思い切って購入しました。
まず、初心者が挑戦しやすい「リンゴ」の絵を見様見真似で描いてみました。家族に見せると「うわー、初めてにしてはリアルに描けてるじゃない」と褒められたのです。
大人になっても人に褒められると俄然やる気が沸いてくるものですね。
それからは、YouTubeを見ながら簡単そうなモチーフを選んで描くようになりました。
水彩画を本格的に学ぶ
自己流で水彩画を描いていくうちに、「プロからしっかり基本を学んでみたい」と思うようになりました。
しかし、子供のころから絵には苦手意識があり、学校の図画工作の授業以来、絵とは全く関わってこなかった私が絵画教室に入会することには、かなりためらいがありました。
なぜなら、絵画教室で絵を学んでいる人というのは、子供のころから絵に親しんでいたり、もともと絵が上手だったり、美大卒だったりなど、絵を描くことに慣れ親しんできた人が通っているのではないか、という考えがあったからです。
「こんな初心者の私が絵画教室に入って、教室のメンバーの方のレベルと比べて場違いな雰囲気だったらどうしよう…」「自己流でちょっと絵を描いてみただけの私が、先生の指導についていけるのか?」などと不安になり、絵画教室に入会することにはかなり迷いましたが、思い切ってオンラインの教室に入会してみることにしました。
入会してみると、初めに抱いていた不安は全くの取り越し苦労でした。絵の好きな仲間と一緒に、絵の知識を学びながら、意見交換をしたり、楽しく会話する時間を過ごすことは、私の生活の大きな部分を占めるようになっていきました。
そして、絵のことをもっともっと勉強したいと思うようになり、地元の水彩画の教室にも通って絵を学ぶようになっていったのです。
公募展での受賞
すっかり水彩画の魅力にハマってしまった私は、ひとつひとつの絵を描くたびに、新しい挑戦に向かっていくような喜びと、自分の世界を表現できるわくわく感がありました。
ある日、通っていた絵画教室の先生から公募展の案内がありました。私は「何でも挑戦してみよう」と思い立って、試しに応募してみることにしました。
その公募展にはほんとに思い付きで出品しただけで、全く期待もしていなかったのですが、なんと!初めて応募した公募展で入賞することができたのです!!
この公募展の表彰式に参加した際、美術館のスタッフの方に私は声をかけられました。
「あなたの絵は、審査の段階の時から私はとても気に入っていたんですよ。この絵は見ているだけで落ち着いた気分になれる癒しの力がありますね。
審査の先生があなたの絵を入賞作品に選んだ時、『やった!!』と思いました。」と言われたのです。
私はその言葉を聞いて、心の底から嬉しさが込み上げてきました。自分が心を込めて描いた絵が、見る人に届き、癒しや喜びを与えられる。
その言葉に、絵が持つ力の大きさを改めて実感しました。
この経験を通じて、描くことへの熱意はさらに強くなり、これから一人でも多くの人に心の安らぎや喜び、楽しさを届ける作品を描き続けたいと思いました。
絵の持つ力、素晴らしさを伝えたい!
こうして、絵には全く興味の無かった私が、偶然のきっかけにより絵と出会ったことで、新たな楽しみや目標を持つことができたのです。
そして、絵と出合ったことは更に私の生活に変化をもたらしました。絵と出会う前、仕事に追われて家と会社の往復だった私が、オンラインの教室に入会したことで、全国に絵を通じて知り合いができたのです。
絵を描くことは、孤独な作業だと思われがちですが、私は絵を通して、とても活動的になっていきました。
絵の仲間との美術館巡りや、野外スケッチ、また、絵の素材写真を撮りに遠方まで出かけたり、お気に入りの画家の個展を見に行ったりなど…今まで出会うことの無かった絵の仲間と出会うことができたことで、自分の世界が広がっていきました。
「もっと早く絵と出会っていれば良かった」 心からそう思えました。
まとめ
絵は、これまでの日常をもっと豊かなものに変える力を持っています。
私は、絵と関わる楽しさをもっと沢山の人に知ってもらいたいと思い、このサイトを立ち上げました。
以前の私のように、絵にちょっと興味はあるけど、初めてみるには今一歩飛び込めない…
そんな方が「えいっ!」と絵の世界へ飛び込むきっかけにしていただければ、とても嬉しいです。